私は、公認会計士短答式試験の勉強を3年余り続け、ようやく合格水準に達することができた。しかし、公認会計士・監査審査会は、私を含めた受験者の許可を得ることなく、勝手に合格水準を異常に吊り上げるという暴挙を働いた。その結果、私は、金融庁による投資詐欺事件にある通り、合格を果たすことができなかったのである。私は、受験者の上位5%以内まで上り詰めた2011年第2回の短答式試験を最後に、この狂った試験から手を引いた。
それから1年後、私は先ず、国家賠償訴訟を提起した。この民事訴訟は呆気なく終わってしまったが、私にはまだ残された反撃手段、即ち刑事手続きがある。私は、失意の中、違法短答式試験の犯人の処罰を求め、刑事告発を行った。告発後の事件の進展状況については、刑事告発後の展開に掲載している。
先ず、刑事手続きには、告発と告訴がある。これらの違いは、告発は誰でも可能であるが、告訴は犯罪被害者等に限られている、という点にある(刑事訴訟法第230条、第239条1項)。私は、2010年第2回及び2011年第2回の短答式試験の受験被害者であるため、これらの試験に限れば、告訴をすることもできる。しかし、この事件では、私一人が被害者になった訳ではない。又、刑事事件は、被害者の手を離れ、社会秩序を維持するために、検察官によって処理されるものである。従って、私は、一連の違法試験の全容を捜査機関に伝えることとした。つまり、2009年から最新の2013年第2回までの短答式試験に関わる犯罪をまとめて「告発」することとした。
2009年以降、公認会計士法第5条に反する違法な短答式試験を実施したのは、試験の実施機関である公認会計士・監査審査会である。又、金融庁、及び日本公認会計士協会も、この違法試験に関与している。しかし、公認会計士法第5条違反には罰則が設けられていないため、残念ながら、これを根拠に犯人を告発することはできない。刑法を調べてみると、どうやら、公務員職権濫用、名誉毀損、威力業務妨害については、該当していそうである。残念ながら、これらの罪には、軽微な罰則しか設けられていない。もっと強力な罪名、例えば詐欺罪で告発したいところだが、要件が厳しいようである。告発状に詐欺罪を記載したところで、事実上、これによって起訴され、有罪判決が下される見込みはないのだろう。
刑法に規定された犯罪の被告訴人は、自然人に限られるらしい。一連の違法試験は、公認会計士・監査審査会会長が単独で行ったものではないのだろうが、私がインターネットなどで調べる範囲では、他にどのような人間が関与していたかを突き止めることは困難である。そこで、告発状には、被告発人として、同審査会会長、金融庁長官、日本公認会計士協会会長のみを記載しておいた。そもそも、告訴・告発は、犯罪を捜査機関に認知させることを第一の目的としており、告訴・告発の段階で犯人を特定できなければ、それでも良いことになっている。犯罪者を起訴するために必要な捜査を行うのは、警察と検察の役割である。
刑事訴訟法第250条には時効について規定がある。それによると、上記3つの罪名は、何れも時効が3年である。つまり、事件の重要性に関係なく、犯罪から僅か3年が経過すると、検察官は公訴の提起ができなくなってしまうのである。又、名誉毀損罪については、親告罪とされ、被告人を起訴するためには、「告訴」が必要である。これも、軽すぎる罰則、短すぎる時効と同様、余計な制約である。刑法というのは、想像力を欠いた単細胞が作ったためか、丸でがらくたのようである。ともかく、私は、これらの制約を無視して、事件の全容を明らかにするため、2009年以降の一連の犯罪について告発状に記載しておいた。
国家賠償訴訟と同様に、刑事告発についても、告発状を始め、私が捜査機関に提出した書類の一部を、以下に公開する。私と同様に、違法短答式試験の犯人を告訴又は告発しようと考えている人は、これらを参考にすることができる。
告発状(東京地検宛て)(PDF)
私は、2013年7月14日にこの告発状を完成させ、東京地方検察庁宛てに郵送した。被告発人と罪名は下記の通りである。
被告発人 | 氏名 | 罪名 |
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被告発人1 | 公認会計士・監査審査会会長 金子晃 | 公務員職権濫用、 名誉毀損 |
被告発人2 | 公認会計士・監査審査会会長 友杉芳正 | |
被告発人3 | 公認会計士・監査審査会会長 千代田邦夫 | |
被告発人4 | 金融庁長官 三國谷勝範 | 公務員職権濫用、 威力業務妨害、 教唆 |
被告発人5 | 金融庁長官 畑中龍太郎 | |
被告発人6 | 日本公認会計士協会会長 増田宏一 | 威力業務妨害、 教唆 |
被告発人7 | 日本公認会計士協会会長 山崎彰三 |
違法行為の背景(PDF)
短答式試験が公認会計士法第5条に違反して実施された背景を説明している。内容は、民事訴訟の準備書面2(PDF)の13~16頁とほぼ同じである。
刑事告発後の展開に記載したように、検察庁への告発が適正に処理されなかったため、私は、同一の事件について他の捜査機関に再告発しなければならなくなった。そして、告発先として、警視庁を選択した。告発状を始め、添付した資料は、検察庁に提出したものと殆ど同じである。
告発状(警視庁宛て)(PDF)
この告発状は、2013年8月21日に警視庁宛てに郵送したものである。被告発人と罪名は、前述のまま変わっていない。受験被害者の人数は修正したが、後に再修正することとなる。
警視庁も、検察庁と同様に、告発状を告発人に返送するという違法手段を取ったため、私は、又もや他の捜査機関に再告発しなければならなくなった。告発先として、今度は、警察庁長官を選択した。
告発状(警察庁長官宛て)(PDF)
これは、2013年9月19日に警察庁長官米田壮宛てに郵送した告発状である。被告発人と罪名は、前述の通りであるが、受験被害者の人数は、新たに計算した推定値に修正した。
資料説明書(PDF)
告発状に添付した資料の一覧である。米田壮に事件の全容を理解させるため、近年複雑に変転した公認会計士試験制度を説明した資料も含めておいた。検察庁宛て及び警視庁宛ての告発状にも、これと同様の資料説明書を添付している。又、この資料の多くは、国家賠償訴訟にも使えるだろう。
公認会計士短答式試験の分析(PDF)
この資料は、短答式試験の合格倍率を分析し、2009年以降の短答式試験の合格水準が、意図的に異常なまでに吊り上げられたことを立証している。検察庁及び警視庁に提出したものとほぼ同じ内容であるが、受験被害者の推定人数は更新されている。
米田壮も、やることが同じであった。他の捜査機関と同様に、告発状を私に送り返してきたのである。私は、やむなく、告発状の宛て先を最高検察庁検事総長小津博司に変え、2013年11月15日に再告発した。告発状と付属資料の内容は、変化していない。