金融庁による投資詐欺事件

公認会計士試験受験被害者の反撃

島崎 崇

私は、2006年の秋、公認会計士になろうと思い立ち、独学で公認会計士試験の勉強を始めた。その当時、金融庁が将来的に公認会計士を増員させる方針を発表しており、又、試験の受験資格が撤廃されたことが背景にあった。私は、金融庁が盛んに勧誘していた「公認会計士試験」に、私の人生を投資することを決意した訳である。その後私は、2008年から2011年第2回まで、合計6回短答式試験を受験した。しかし、私は合格を果たせず、公認会計士になるという目標を諦めざるを得なくなった。

私が短答式試験に合格できなかったのは、何も私が勉強不足だったからではない。2009年以降、公認会計士・監査審査会(公認会計士試験の実施機関)が、それまでは比較的安定していた試験の合格水準を、意図的に、異常なまでに上昇させたことが原因である。仮に合格水準が従来のままであったならば、私は既に2回若しくは3回も合格点に達していた。

私は、短答式試験から撤退後、1年程して国家賠償訴訟の準備を始めた。5年弱の期間を完全否定された衝撃が余りにも大きく、公認会計士・監査審査会の暴挙を看過することができなかったのである。私は、自分の試験成績の入手、試験の合格水準の分析、損害額の計算などを行って、証拠を一通り揃えた。そして、準備が整ったところで、私は意を固め、裁判所に訴状を提出した。

国家賠償訴訟の提起に遅れること約1年、金子晃友杉芳正を始めとする違法試験の責任者らを罰するべく、私は刑事告発を行った。残念ながら、時効が過ぎていたり、該当する罪が軽微なものしか無いといった問題があるが、私は、少しでも受験被害者の救済になることを期待し、この犯罪を捜査機関に告発した。

一方で、私は、公認会計士試験の受験者向けに、試験データを分析した頁も幾つか用意した。公認会計士試験の合格率では、短答式試験及び論文式試験について、合格率の推移を知ることができる。又、短答・論文をまとめた連結合格率という指標にも言及している。公認会計士短答式試験の合格倍率は、合格倍率の分析を通して、2009年以降の短答式試験の異常さについて説明している。

2007年以降の短答式試験では、3科目が免除され、企業法のみを受験する特殊な受験者がいる。この3科目免除者を除外して、一般受験者の合格倍率を分析した結果は、一般受験者の合格倍率に示した。又、この分析過程で判明した3科目免除者の特徴については、会計専門職大学院修了者の実態にまとめてある。

過年度の短答式試験受験者は、公認会計士試験受験被害者の認定で、自分が受験被害者に該当するかどうかを確認することができる。又、ここには、受験被害者の推定人数も示しておいた。

最後に、私は、公認会計士になれなかったが、これは何も、私と同様に合格水準に達していて不合格にされた受験被害者に限ったことではない。最難関の試験に合格し、その何年か後に資格を取得する者にも共通して言えることである。何故なら、2009年以降の短答式試験を受験した合格者に与えられる資格は、最早、「公認会計士」ではないからである。彼らは、公認会計士・監査審査会による前代未聞の重大な違法行為を看過することから、自己の利益のためであれば、ありとあらゆる不正を黙認するCPA (Crime-Permissive Accountant) 「黙認会計士」となるのである。日本では、今後、不正試験を通過した黙認会計士が年々増殖していき、公正不偏の態度を保持した公認会計士は、徐々に淘汰され、やがて絶滅する運命にあるのである。


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公認会計士試験の合格率
公認会計士試験受験被害者の認定

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© 2012 島崎 崇
更新: 2014年4月3日