公認会計士試験受験被害者の認定

島崎 崇

ここでは、私と同様に公認会計士短答式試験を受験した結果、適正な合格水準に達していたにもかかわらず、不合格にされた被害者を認定する。認定の対象となる人は、合格倍率が異常値を記録した2009年以降の短答式試験の受験者である。但し、企業法のみの受験者は、対象外とする。

被害の程度を正確に認定するためには、3科目免除者を除いた一般受験者の受験者数及び合格者数などのデータが必要である。しかし、これが一部しか公開されておらず、多くは不明である。そこで、止むを得ないが、一般受験者の合格倍率に基づき、見積もりによって被害者の認定を行う。尚、2013年9月に認定基準を改正した。


被害等級

受験被害者は、仮に短答式試験が適正に実施されていた場合の合格可能性に応じて、下表のようにA級、B級、C級に分類される。又、被害等級ごとに受験者の上位%が定められている。

短答式試験が年2回化された2010年以降は、度外視法と非度外視法の2種類の判断方法がある。このうち、慎重に判断する非度外視法の場合は、上位%の代わりに半上位%が適用される。

等級合格可能性Z値上位%半上位%
A級99.999999%~5.612~11.70%~6.03%
B級99.99%~3.719~14.34%~7.45%
C級99%~2.326~17.20%~9.01%

 例えば、A級被害者は、適正な合格水準の下で、少なくとも99.999999%の確率で合格していたはずの不合格者である。そして、一般受験者母集団の上位11.70%以内の得点を得た者がA級被害者に該当する。尚、2010年以降、非度外視法による場合は、上位6.03%以内となる。
 合格可能性とZ値、上位%の関係は、次の通りである。例えば、B級の場合、標準正規累積分布の値が0.9999となるZ値が3.719である(P(Z<3.719)=0.9999)。次に、Z値が3.719となる合格倍率は、3.880+0.831*3.719=6.972となる。ここで、3.880は合格倍率の平均値、0.831は合格倍率の標準偏差である(一般受験者の合格倍率とZ値参照)。そして、この逆数1/6.972=0.1434が上位%である。
 C級被害者であっても、99%以上の確率で合格していたはずであり、一人前の被害者である。「不合格判定は仕方のないことである。」という帰無仮説は、危険率1%で棄却される。即ち、C級被害者が不合格になった原因は、少なくとも99%の確からしさで、本人には無いと言える。
 2010年以降、非度外視法による場合は、合格倍率を約半分にして判定するため、上位%も約半分の値が適用される。上位%値(X)と半上位%値(x)は、次のような関係にある。
 x=1-√(1-X)
 上位%は、得点順位を受験者数で除した値である。例えば、2009年の一般受験者数は16,771人、合格者数は2,036人であるが、得点が2,200位の受験者は、上位2,200/16,771=13.12%に位置していることになる。この不合格者は、上表から、B級被害者に該当する。

受験被害者数の推定

被害認定に当たり、各短答式試験に於ける不合格者の得点と被害等級との関係を定めなければならない。私は、得点階層分布表の分析の通り、一般受験者の得点分布を予想し、各被害等級に対応する得点範囲を推定した。この推定結果に基づき、受験被害者の発生状況を下表に示す。一般受験者は、ここで、自己の得点に応じた被害等級及び同朋の推定人数を知ることができる。

又、この表は、被害認定の基準としても用いられる。受験者は、ここで得点を自己申告することにより、被害認識の有無、被害の形態、被害金額の多寡、或は後の進路(再受験か撤退か)等にかかわらず、一律に被害認定を受けることができる。尚、現在のところ、認定証の発行サービスは行っていない。

認定基準には、度外視法と非度外視法がある。このうち前者は通常の認定基準であり、後者は2010年以降の被害認定を慎重に行うための基準である。非度外視法によって被害認定を受けた者は、筋金入りの受験被害者であると言えよう。


受験被害者の発生状況(度外視法)

合格者被害者(度外視法)
A級B級C級
200970.0~
2,036
-
0
68.4~
360
66.4~
478
2010.171.0~
1,425
68.4~
574
66.4~
451
64.4~
489
2010.271.0~
697
64.0~
1,288
62.0~
448
60.0~
485
2011.173.0~
1,409
70.4~
533
68.6~
438
66.4~
475
2011.273.0~
451
64.4~
1,231
62.4~
379
60.4~
411
2012.170.0~
709
64.4~
821
62.4~
345
60.4~
374
2012.267.0~
343
58.8~
836
56.8~
266
54.6~
288
2013.167.0~
934
65.2~
189
63.2~
253
61.2~
274
2013.267.0~
593
64.0~
285
61.8~
198
59.8~
215
累計8,5975,7573,1383,489

 上段は得点範囲、下段は推定人数を表す。
 合格者及び被害者の人数に3科目免除者は含まれていない。
 同一の受験者で2回以上被害にあった多重被害者は、その都度、重複して数えられている。

受験被害者の発生状況(非度外視法)

合格者被害者(非度外視法)
A級B級C級
2010.171.0~
1,425
-
0
-
0
70.4~
114
2010.271.0~
697
68.8~
326
67.4~
241
66.2~
265
2011.173.0~
1,409
-
0
-
0
72.6~
86
2011.273.0~
451
69.4~
416
68.0~
204
66.6~
224
2012.170.0~
709
69.4~
79
68.0~
186
66.6~
204
2012.267.0~
343
63.8~
264
62.4~
143
61.0~
157
2013.167.0~
934
-
0
-
0
-
0
2013.267.0~
593
-
0
-
0
66.2~
83
累計6,5611,0857741,133

 合格者の欄は、度外視法の場合と同じである。
 非度外視法による受験被害者は、仮に度外視法を適用した場合には、全員がA級被害者に含まれる。

加害者情報

分析の結果、公認会計士試験受験被害者は、数千人規模に達することが判明した。この甚大な被害は、自然災害によるものではない。加害者が存在し、その加害者によって人為的にもたらされたものである。即ち、これは、天災ではなく、馬鹿による人災である。

その加害者の筆頭として、公認会計士試験の実施機関である公認会計士・監査審査会が挙げられる。同審査会は、公認会計士法第5条に背き、意図的に短答式試験の合格倍率を前代未聞の水準にまで上昇させ、適正な合格水準に達していた一部の受験者を不当に不合格にした首謀者兼実行犯である。又、公認会計士増員計画を示して受験者を勧誘する一方、合格者数を削減するよう同審査会に対して圧力を掛け、同審査会を違法行為に走らせた金融庁は、共犯者である。更に、日本公認会計士協会も、金融庁と協調して合格者数の削減を推したもう一人の共犯者である。この違法行為の概要は、違法行為の背景(PDF)にまとめた。

最後に、各試験の実施時期に於ける加害代表者氏名を下表に記しておく。これらの者に対して損害賠償請求、刑事告発・刑事告訴、その他、を検討している受験被害者は、参考にされたい。当該加害者共が被害者各位の人生に及ぼした影響の重要性に鑑み、私は、同朋による如何なる反撃手段にも、適正意見を表明する。

首謀者・実行犯共犯者1共犯者2
公認会計士・
監査審査会会長
金融庁長官日本公認会計士
協会会長
2009金子晃佐藤隆文増田宏一
2010.1金子晃三國谷勝範増田宏一
2010.2友杉芳正三國谷勝範増田宏一
2011.1友杉芳正三國谷勝範山崎彰三
2011.2友杉芳正三國谷勝範山崎彰三
2012.1友杉芳正畑中龍太郎山崎彰三
2012.2友杉芳正畑中龍太郎山崎彰三
2013.1友杉芳正畑中龍太郎山崎彰三
2013.2千代田邦夫畑中龍太郎山崎彰三

金融庁による投資詐欺事件

国家賠償訴訟
刑事告発
公認会計士試験の合格率
公認会計士試験受験被害者の認定

© 2013 島崎 崇
更新: 2013年9月20日